茶花とは茶席にいける草花で別に特殊な名称、定型はありません。
茶花は一見して野にある花をなげいれて生けてあるかのように簡単
に考えられやすいのですが、決してその様な花ではありません。
生けられた花は無造作にさらっと入っていますが、一輪一枝の花が
省略された美しさであり、生かしてあげる心で生けないと花が息づ
きません。
したがって茶花は心をもった花であり、人々の自由を大切にしたも
のです。生けられる花は華やかな花よりも、ささやかな花への抒情
に重きを置いていますので、季節の移ろいの中で身近では庭より、
遠くでは野山の草花を入れます。室町時代の村田珠光が言っていま
すように「花のこと座敷のよき程かろがろとあるべし」は軽々とは
競いをもつことなく永遠なる平和な生活の中に春夏秋冬の野の花を
見、これによって心を澄ます行いを持とうとした事で、茶席の花が
生け花の中でも違った位置にあるのはこういう事からです。
茶花は生き生きと、競い合うことなく調和し、しかも簡潔で心を癒
すものであるから、これからは茶室だけではなく、もっと広い観点
から茶花のあり方を考えてみる必要があります。
そういうわけで五葉会では茶室に生けられる花を古典の茶花、暮ら
しの中で生けられる花を茶趣の花と区別しております。
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